ぽこけん

ぽこ&けんいちによる、海外ツーリング、国内ツーリング、テレマークスキー、温泉のホームページです


四国八十八か所犬連巡礼

2001/06/08の日記 晴れ 道の駅紀の川万葉の里(和歌山県伊都郡かつらぎ町)→高野山→神戸・垂水区

「最後の納経」正装したポコと遍路グッズの数々。ああ、もうこれで旅も終わりなのね。ポコもさみしそう?

「道の駅にて」レンタカーを借りて和歌山までやってきた。高野山手前の道の駅にて車の中で寝る。けっこうぐっすり眠れました。

「高野山奥の院だ」奥の院の入り口。この先は写真撮影禁止なのだが、犬は禁止と書かれてなかったので、ポコも一緒に参拝しました

「奥の院への参道」 杉林に囲まれた荘厳な雰囲気の参道。立派なお墓がいっぱい並んでいる。

■ ああ、高野山
高野山金剛峰寺は真言宗の大本山。標高800mの高原にあり、100以上もの寺院が集まる仏教の町。町を歩くお坊さんの姿も多く、独特の宗教的な空気がここにはある。
四国巡礼の旅は、88ケ所をすべて回り終えたあと、ここ、金剛峰寺の奥の院にお参りして正式に終了する。88ケ所全部を回り終えると「結願」、さらに高野山奥の院までお参りすると「満願」というらしい。去年の夏にもバイクでここを訪れたけれど、88個所を歩き終わって来るのとでは感慨がまったく違う。
さて、奥の院は高野龍神スカイラインの入口近くから深い杉林の参道を1kmほど歩いたところにある。参道の両脇には歴史に名を残した人などの墓が並び、荘厳な雰囲気。その一番奥に空海廟がある。弘法大師空海がここに眠っているのだ(現在でも四国をはじめ諸国を回っている、ともどこかに書いてあったが)。四国と違って白装束の人が観光客にまぎれて目立たないけれど、奥の院へお参りに来る人は、みんな敬虔な態度。般若心経手ぬぐいを巻いて正装(?) たポコもちょっとは最後だということを感じてるかな。
「本当にこれで終わりなんだねえ」
最後の般若心経を唱え、納経帳の最初のページに納経してもらったあと、健ちゃんと2人でしみじみと旅を思い返す。歩きの旅は思った以上に大変だったけど、毎日いろんなことがあって、いろんな人に出会って楽しかったな。また、いつかやってみようね、ポコ。
■ 俗世に戻ってしまった
大阪から神戸へ高速道路で向かう途中、池田市の小学校での惨事のニュースが流れた。今まで新聞、TV、ラジオから縁遠い生活だったのに、久しぶり聞いたニュースはかなりショッキングなものでびっくりした。まだお遍路さんをしていたら知らなかったかもしれない。大阪、神戸へと四国とは比べものにならない大都会を歩く速度の30倍のスピードで車を走らせながら、「俗世に戻ってしまったなあ」と
改めて感じてしまった。四国を歩いていたのは、ほんの昨日のことなのに、なんだかはるか昔のような気さえする。車であっという間に移動しているせいだろうか。
さあ、次は海外へ。四国のあともまだまだ旅は続きます。乞うご期待!


<メモ>
●コース:道の駅紀の川万葉の里(和歌山県伊都郡かつらぎ町)→高野山→神戸・垂水区
●移動距離:200kmくらい?
●今日の札所:
高野山金剛峰寺・奥の院(和歌山県伊都郡高野町)→日本最大の寺院で、100の僧坊伽藍がある真言宗総本山。奥の院に空海廟がある。
●宿泊地:神戸・垂水区

駅にて」レンタカーを借りて和歌山までやってきた。高野山手前の道の駅にて車の中で寝る。けっこうぐっすり眠れました。

 

 

2001/06/07の日記 晴れ 10番切幡寺(徳島県阿波郡市場町)→1番霊山寺(徳島県鳴門市)

「暑いよ~」 一番札所へ戻る途中。暑くてたまらず、ポコ、道路脇の水路へドボン。小学生たちが喜んでポコを応援してくれた。ポコは人気者なのだ

「一番に戻ってきた」一番札所、霊山寺の山門前で思わずバンザイ! もう歩かなくていいのだ。

 

 

■ ポコ、ニャンコを守る
朝、ここのお寺の犬らしい2匹がやってきた。普通ポコは犬には無関心なのだけど、犬たちが子猫のほうへ行こうとしたとたん、まるで子猫を守るように子猫の前に走って行って、犬たちに吠えたてて追い返した。どうしたの? ポコ。あんなに子猫から逃げまわっていたのに(子猫のほうはポコを母親だと思ってすり寄っていく)。仲間意識が生まれたのか? それとも母性本能が目覚めたか? いずれにしても、ポコがあんな行動をするなんて、ちょっとびっくり。でも、子猫はやっぱりこの寺に置いていくことにした。もう歯も生えているし、エサをもらいながらノラ猫として生きていけるだろう。と思うものの、なんとなくうしろめたい。そんなとき、近所の老夫婦がやってきて「このへんに放しておけば、寺に来る人からエサをもらえるから大丈夫。この寺の住職さんは捨て犬も何匹か飼っていて動物好きだし。猫はわからんけどな」と言ってくれたので、少し気持ちが楽になる。あの老夫婦は、弘法大師さまが遣わしてくれたのでは? なんて考えすぎか? ニャンコちゃん、ポコはもういなくなるけど、ちゃんと生きていくんだよ。
■ 1番霊山寺へ逆打ちコース
10番切幡寺から1番霊山寺までは、来たときとまったく逆に進むことになる。ところで、順番通りに回ることを順打ち、反対を逆打ちという。順打ちの場合はへんろ道ステッカーがあちこちに貼ってあってわかりやすいけれど、逆の場合はちょっと難しい。それにしても、この2ヶ月で春から初夏へと季節は確実に変化していた。来たときはまだ田植えも済んでなかったのに、今では立派な稲に成長している。日差しも、もう夏のものだ。
20km余りの距離なので、余裕で5時前に着くと思ったら、1番札所に戻ったのは5時30分。納経帳の最後に書いてもらわなければならない。社務所に行ってみると幸いまだ人が残っていたので、なんとかお願いして書いてもらう。そのうえリンゴジュース(1リットルの瓶入りで重い!) でお接待でもらった。ところで、1番札所はもっと賑やかでもよさそうなのに、意外にひっそり。5時を過ぎると参拝客もこないし周囲には何もない。
荷物のところへ戻ると、キジのヒナが息絶えていた。暑さのためか、ポコのエサを食べたのがよくなかったのか、猫にかまれたのが原因かわからないが、寺の境内に埋めてあげた。これでポコファミリー、もとの2人+1匹になってしまった。
さて、これから高野山だ。空港でレンタカーを借りて50日以上ぶりに車に乗ったが、ずっと歩きのスピードだったので、40km程度でも風景の流れるスピードが早すぎて恐い。10分もすると慣れてしまったけど、あの感覚はかなり貴重な経験だ。また50日間歩かないと味わえないのだ。夜10時、和歌山行きのフェリーに乗りこんで四国をあとにした。

 


 

2001/06/06の日記 雨のち曇り 亀鶴公園(香川県大川町郡長尾町)→10番切幡寺(徳島県阿波郡市場町)

「ポコファミリー増員?」 昨日畑に落ちていた鳥のヒナに加え、峠で拾った子猫も加わって、ポコファミリー一気に増員。

「遍路資料館にて」 館長の木村さん、山頭火顕彰会の砂川さんと一緒に

「祝! 結願」 ヤッタ、ヤッタゾ! 88番大窪寺で思わず万歳!

「イングリッシュおじさん」 10番切幡寺の近くに住む大川さんのお宅でビールをごちそうになる。英語が得意(?) 陽気なおじさん。ごちそうさまでした。

■ 遍路資料館にて
「四国の他県で雨なら香川は曇り。雨が降らないから水不足で溜池が多い」と聞いていたのに、今日は朝から雨。とうとう梅雨に入ったのかもしれない。仕方なく雨の中を歩いて遍路資料館まで道を急ぐ。途中のコンビニで社会福祉協会のおじさんが、缶コーヒーとサンドイッチをごちそうしてくれる。雨の日は哀れを誘うのだろうか。そのおじさんも「ぜひ遍路資料館へ寄ってみなさい」と言っていたが、遍路の歴史や資料などを公開している無料の施設で、結願(けちがん・88ケ所すべてを回り終えること)を前にして今一度、遍路のことを知ることができるし、お遍路交流サロンもある。ここで白須さんと数日ぶりに再会する。今日、一緒に結願できそうだ。
ここの館長、木村さんはお遍路研究家。ちょうど山頭火顕彰家の砂井さんという人もいて、いろいろ話を聞くことができた。砂井さんは山頭火の句碑を建てる活動をしていて、88番大窪寺にもあるから見ていきなさい、と力説される。
■ ポコファミリーいきなり増員か?
88番大窪寺へは2通りの道がある。山道の女体山越えと車道である。以前に会った今林さんという9回目の遍路さんが「最後の女体山越えは、とにかく気持ちがいい。人間は母親の体から生まれるけど、そんな感じの、生まれ変わったような感覚でなんともいえない」と表現していたのが忘れられないのだ。ところが資料館で道の状況を聞くと、雨だから女体山越えの道は落石などもあって危険だというので、アスファルト道路をいくことにした。雨は上がっていたけれど、周囲は霧が深い。残念だけど女体山越えは次回にしよう。
遍路資料館をお昼前に出て、峠にさしかかったとき、「ニャーゴ、ニャーゴ」と低い声で鳴く小さな子猫がいた。エサもないだろうと思ってポコのエサをあげたら「ウマウマ」と言って一生懸命食べていた。こんな人家も何もないところに居ても車は止まらないし、歩く人もほとんどいないから誰にも気づかれない。せめてもう少し人家のあるところまで下ろしてあげようと、とりあえず寺まで連れていくことにした。昨日の夕方に畑で拾ったキジの子らしいヒナもいるし、これじゃ、まるでモモタロウだ。
■ ああ、結願
寺まであと3km弱、というところで、昨日の朝日新聞高松支局の伊藤氏がタクシーでやってきた。そこから寺まで一緒に歩く。話を聞くと予想通り今年の新人で、東京出身だとか。
やがて山門が見えてきた。ああ、やっと着いた。さすがに50日以上歩き続けただけに感慨深いものがある。最後まで歩き通せてよかった。やっぱりこの感動は歩いた者いしかわからないだろう。ポコもこれが最後の寺だとわかっただろうか? 四国を歩き通した犬なんてそういないだろうから、アンタはとってもすごいんだよ、えらかったね、ポコ。と声を掛けてもいつもどおりのクールな顔。もっとうれしい顔をしてよ、ポコ。
寺にはなんとカメラマンも待ち構えていた。ポコと3人で本堂の前で決めのポーズで撮ってもらう。これで明日の新聞に載ることが確定したが、残念ながら香川版なので、徳島県に入ってしまう私たちはもう見られない。実家に送ってもらうことにした。
女体山越えをしてきた、という白須さんは先に着いていた。やっぱり気持ちがよかった、と言う。どういう感覚なんだろう?
朝日新聞一行が帰ったあと、3人でゆっくりと最後のお経を上げる。いつもより丁寧に気持ちを込めて。これで終わってしまうのか、と思うとさみしい。お経を上げ終わると同時に雨が本降りになってきたので、しばらく寺で休憩する。その間、他の遍路さんたちから納経所の前に居たポコだけでなく、猫のことが話題になってしまう。寺の人も聞きつけたのか「ちゃんと持ち帰ってくださいよ。無責任なことはしないでくださいね」と念を押されてしまう。困った。まさに寺で放そうと思っていたのに。
健ちゃんが主に怒られたので、「せっかく結願でめでたい気分が台無し」と気分を害していた。それにしても、どうしよう、子猫ちゃん。
■ 初めての夜歩き
88番大窪寺からはどうするのか。ここで終わりにする人、ここから高野山へ向かう人、1番までお礼参りで歩くなど、いろいろだが、私たちは犬連れで公共の交通機関が使えないので、1番まで40km余りを歩くしかない。白須さんは高松の手前で知りあった地元の人の家で3日ほどアルバイトをする予定らしい。そのお金で高野山まで行くという。その人が夕方5時に寺に迎えに来てくれるとか。
私たちも夕方5時に寺を出発。ここからしばらく何もない道が続く。適当な野宿地も食料店もない。でも天気もよくなってきたし、なんだか歩きたい気分だったので、切幡寺までの10km余りを歩き切ってしまった。暗くなってから歩いたのは、この旅初めてだけど涼しくて気分がいいものだ。
■ イングリッシュおじさん
徳島県境を越え、やっと市場町に着いたときには「戻ってきたなあ」とまたまた感慨深いものがあった。すでに夜9時になっていたけど、まだ開いていた宮脇書店の前で「犬連れかあ、すごいなあ」と中年ご夫婦から声を掛けられる。「わしらの家はそこの道をゴーストレートね。ターンライトしたらあかんよ。へんろ道沿いだし、ビール用意してるから寄って行ってよ」。ポコを見て犬が吠えるからすぐにわかるという。その通り、その家の前を通ったら犬が3匹もいて、みんなで吠えたてた。同時にさっきのおじさんが出てきて、本当にビールとつまみを用意してくれた。この陽気なおじさんは大川さんといって、やたら会話の中に英語が出てくる。それだけじゃなく、ポーランド語、ロシア語ほか各国語で「アイラブユー」だけは言えるそうである。どうも飲み屋で働く外国人の女の子たちから覚えるらしい。私たちが四国の旅を終えたあと、今度は海外に出る、と話をしたら感動され「こんな人たちと知りあえて今日はよかったわ」と言われて、こっちもうれしくなる。最後にこんな人と出会えたおかげで大窪寺で怒られたことも解消された。
切幡寺の駐車場に着いたのは夜11時30分。見覚えのある山門をくぐりテントを張る。周囲にはホタルが飛び交い、空には満月が登っている。子猫のことが気がかりではあるけれど、結願の夜はしみじみと更けていった。


<メモ>
●コース:亀鶴公園(香川県大川町郡長尾町)→10番切幡寺(徳島県阿波郡市場町)
●歩行距離:30km
●今日の札所:
88番大窪寺(香川県大川郡長尾寺 N34°11’17” E134°12’22”)→静かな山中にある結願のお寺。ここに金剛杖を納める人もいる。門前にみやげ物や食事処が数軒あるが、それ以外は何もなく意外に静か。
●宿泊地:10番切幡寺の駐車場C(徳島県阿波郡市場町 緯度経度計測忘れ)→山門近くの駐車場内。トイレ(NOT水洗)、水場あり。

 

2001/06/05の日記 曇りときどき小雨 86番志度寺(香川県大川郡志度町)→亀鶴公園(香川県大川郡長尾町)

「ダニ取ってちょうだい」  ポコの体にはときどきダニが付くので、とってあげる。ときどきとうもろこしの粒大になったダニもいる。

 

「昼寝ですっきり」 長尾寺から数kmのところにあった聖石天の中に畳敷きの部屋があったので、みんなで昼寝をさせてしまった。

■ 志度寺は蚊の巣窟だった
昨夜は、初めてテントなしの野宿をしてみたが、これが大失敗。志度寺境内は湿気がひどくて蚊がやたらに多く、刺されまくる。今まではこんなにひどくはなかったので、蚊取り線香などはないから、やられ放題である。これじゃとても眠れないと、途中からテントを張って中で寝るが、どうやって入ってくるのか、中にもたくさんいて結局ほとんど眠れずじまい。そんなさんざんな志度寺だったけど、朝テントをたたんでいると、毎朝お参りにくるという信心深いおばさんが、健ちゃんの御経に合わせて御詠歌(お寺ごとにある短歌のようなもの)を詠ってくれ、犬好きということもあってか、お接待で1000円くれた。まったくポコさまさまである。
■ 朝日新聞の取材を受ける
眠くてぼーっとしながら87番、長尾寺までの数kmをトボトボ歩く。なんだか足取りが思い。長尾寺に着き、境内にあった店でうどんを食べ、その後もダラダラ過ごす。ここから最後の88番、大窪寺まで10数km、まだ昼前なので十分行ける距離だが、途中にある「遍路資料館」にぜひ寄りたいと思っていたのに、本日火曜日は休館日。雨も降ったり止んだりですっきりしないし、今日は遍路資料館の手前までしか行かないで泊まることにしたので時間をもてあましていた。それにしても眠い。そんなときに「朝日新聞の記者なんですが、犬連れの遍路さんって珍しいので、取材させてください」と、声を掛けてきた。さすが、天下の朝日新聞。こっちが呼ぶ前に向こうからやってきた。でも、この記者氏どうも新米らしい。ちゃんと記事になるのか心配だ。
■ 昼寝と温泉で結願に備える
長尾寺を出たものの、本日の予定はあと数kmだけ。終わりが見えていると思うと、うれしいというより、さみしい感じ。午後はほか弁を買い込んだあと、聖石天堂というお堂で食べる。ここには畳敷きのスペースがあり、座布団まで用意されていたので、ありがたく昼寝をさせていただくことにした。午後1時すぎから5時近くまでぐっすり眠った。畳の部屋はやっぱりいいなあ。昼寝中に、さっきの朝日新聞の新米記者から電話があり、明日、88番大窪寺で写真を取りたい、とのこと。やった、これでポコファミリーが朝日新聞に載るのだ。
写真に撮られるからではないが、ちょうど温泉施設があったので、ゆっくり浸ったあと、向かい側の亀鶴公園の駐車場でテントを張った。ちょうどショウブ祭りのシーズンで、公園は一面のハナショウブ。なかなか見事な景色を鑑賞しながら眠りについた。

 


 

<メモ>
●コース:86番志度寺(香川県大川郡志度町)→亀鶴公園(香川県大川郡長尾町)
●歩行距離:10km
●今日の札所:
86番志度寺(香川県大川郡志度町 N34°19’16” E134°10’58”)→町中にあり、境内は木々が多く鬱蒼とした林の中に本堂などがある。山門の左手の五重塔が目立つ。
87番長尾寺(香川県大川郡長尾町 N34°15’48” E134°10’27”)→志度寺と逆に砂利敷きの開放的な境内。境内にうどん屋がある。
●宿泊地:亀鶴(きかく)公園の駐車場B(香川県大川郡長尾町 N34°14’50” E134°11’00”)→トイレ、屋根付きスペースあり。近くに温泉施設もある。

 

2001/06/04の日記 晴れ 高松市中心部(南新町)→86番志度寺(香川県大川郡志度町)

「タヌキとポコ」84番屋島寺には、タヌキを祀った蓑山大明神がある。大きな夫婦のタヌキにポコ、びっくり。

「アスカにほれられるポコ」 85番八栗寺へ行く途中の民家で、ゴールデンリトリバーのアスカくん(オス)に追いまわされるポコ。アスカくんのガールフレンドはポコにヤキモチを焼いていた。

「93歳の元チャリダー」明治41年生まれのおじいさん。60年以上も前に自転車で日本各地を旅して回ったらしい。おかげで93歳の今も足腰は丈夫だとか。我々もあやかるべく一緒に記念撮影

■ 歩き遍路のご利益に期待?
高松市内から屋島寺は約6km。市街地をずっと通って行くのだが、市内中心部へ向かう車で大渋滞している。自転車で駅へ急ぐ会社員や学生たちとは反対方向に私たち遍路は歩いて行く。俗世を後目に、無我の境地へと向かっているような感じだ。それにしても、なかなか賑やかな町並みが終わらない。高松ってこんなに大きな町だったのか。
途中、川沿いのベンチで休憩していたら、近くの会社の人が「お接待でコーヒーかお茶をお出しします」と声をかけてくれたのでありがたくいただく。冷たいアイスコーヒーを持ってきたくれたのは坊主頭の30~40代の男性で、去年の9月に思い立って6日間で車で八十八個所を回ってきた話をしてくれた。「八十八個所を回ったことが人生の転機でしたよ。いろんなことがうまい方向に向かって進んでいくのです。あなたたちは歩いているのだから、もっと大きなご利益があると思いますよ」とのこと。昨日一宮寺で会った86歳のおばあさんも、「遍路をし終えたら、きっと不思議なことがありますよ。願ったことが必ず叶うんですよ」などと言っていた。ちなみにこのおばあさん、「年金をいっぱいもらっているから、そのお返しのつもりで、西国三十三個所巡りのときには7万円づつ入れてきた」と言う。ゲゲッツ! ということは7万×33=231万円! そんなに入れたらご利益も多いに違いない。私のほうは、納経代に300円も払っているのだから、と最近は賽銭を入れない。これじゃご利益は期待できないか?
■ 八栗寺のお接待
屋島寺に続き、八栗寺も山の上にあるお寺で、普通の人はケーブルカーで行くが、遍路道は急な坂道を登る。どちらも高松市街から近いが、山の上にあるため静かで落ちつける。屋島寺は源平合戦の舞台で、四国村など観光名所もあるので一般観光客も多いようだが、平日の境内はわりに落ちついた雰囲気。源平合戦の遺物を展示する近代的な宝物館と、古い造りの本堂が並ぶ。また大きなタヌキの夫婦の像もあった。なんでも弘法大師を道案内した日本三名タヌキらしい。
一方、八栗寺はより静かな雰囲気。急峻な山が寺の背後に迫って迫力の景観だ。今日も暑いので、ここで昼休みがてらのんびりしていると、納経所の人が日本酒のワンカップ2つとつまみをお接待してくれた。最近歩きの人が少ないせいか、お寺の人が声をかけてくれたりして、親切にしてくれることが多い。さすがに境内で飲むのは気がひけたので持ちかえったけれど、お寺でお酒が出てきたのは初めて。
■ 元祖旅人のおじいさん
八栗寺から山を下りたところで、一輪車を押していたおじいさんと会う。「わしも、昔は自転車であちこちいってなあ。もう60年以上も昔だけどなあ」と旅の話をしてくれた。なんと戦前に、当時の自転車で日本全国あちこち旅して回ったらしい。「戦争がなければ朝鮮へも行っとったけどな」。
カソリさんもびっくりの元祖・旅人。自転車で鍛えたおかげで、93歳になった今でも足腰は丈夫で元気いっぱい。カソリさんの40年後でしょうか?
■ 大阪のカリスマ坊主美容師
93歳のおじいさんに会ったと同時に、高知県南国市に住む山地さんが再びやってきてくれた。昨日北条YHの坂田さんと広島に行った帰りだそうだ。今日の宿泊予定地、志度寺まで荷物を運んでもらう。冷たいビールを用意してくれていたので感謝。山地さんは明日仕事があるので夜は戻らなければならないのであまり飲めなかったが、やはり、志度寺に泊まるという歩き遍路の人がいたので、誘って一緒に酒を飲む。彼は大阪出身の美容師さんで22歳。姪が重病にかかったこともあって東京での仕事を引き払って今回の旅へ。姪ごさんは無事に手術も成功し、回復に向かっているとかで、よかった、よかった。でも、「美容師だと髪を伸ばさないといけなくて、そうなると逆に切りたくなるんです」ということで頭はツルツルの丸坊主。明日で満願(88個所目終了)できるとのことで、所要30日間。一方、ポコファミリーは51日目の夜でした。


<メモ>
●コース:高松市中心部(南新町)→86番志度寺(香川県大川郡志度町)
●歩行距離:22km
●今日の札所:
84番屋島寺(香川県高松市屋島東町 N34°21’15” E134°06’14”)→源平合戦ゆかりの地、屋島にあって周辺は観光施設も多い。境内に源平合戦の遺物を展示(有料)。弘法大師を案内したという、日本三名タヌキを祀った「蓑山大明神」もある。
85番八栗寺(香川県木田郡牟礼町 N34°21’23” E134°08’31”)→急峻な五剣山の懐に建つ山岳寺院。ケーブルカーもある。重厚な萱葺き屋根の歓喜天もあり、商売繁盛の神様らしい。
●宿泊地:86番志度寺の駐車場C(香川県大川郡志度町 N34°19’16” E134°10’58”)→トイレ(NOT水洗)、水場は境内のものを利用できる。

 

2001/06/03の日記 晴れ 異様に暑い 香西寺(香川県高松市)→高松市中心部(南新町)

「ポコ、またもやお接待」高松市内で古山さんという犬好きの方にドッグフードをたくさもらったうえ、ご自宅に泊めてもらった。

「ポコファミリー、大都会へ」高松市のど真中、菊地寛通りにて。びっくりするような大都会で目だってしまうポコファミリー。「ポコファミリー、大都会へ」高松市のど真中、菊地寛通りにて。びっくりするような大都会で目だってしまうポコファミリー。

■ 暑くてたまらん!
今日は朝からとっていい天気。雲もないので、8時ころからカンカン照りとなる。ポコはぐったり。すぐに「休みたい! 休むんだ!」と言い張って日陰に入ってしまう。そのたびに一緒に休憩するので、今日もなかなか先へ進めない。実際、今日の日差しはかなりきつい。犬にとってはさぞかしつらかろう、と思う。そんなわけで、一宮寺で大休止をとることにした。ここは讃岐の国の一宮神社である「田村神社」に隣接しているが、先代から神社とお寺が仲が悪かったらしく、以前は神社の境内から寺へも入れたのに、壁を作って通れなくしてしまったそうだ。日曜日とあって神社のほうは地元の人が集まる「日曜市」が開催されていて、寺のほうでは団体のお遍路さんで賑わっていた。さすがに日曜日は参拝客が多く、松山から日帰りで来ていた団体が「松山市内でポコちゃんと一緒に歩いているのをみたわ」などと言って、お布施をはずんでくれた。托鉢場所がよかったせいか、団体客が多かったせいか、あっという間にポコの托鉢皿には5000円以上も集まっていた。ポコ、すごい。でもみんながポコの回りに集まってきてゆっくり休めないので、1時間ほどで場所を変えてみんなで昼寝タイムとなった。
■ 犬好きおばさんに拾われる
夕方になって少し日差しも和らいだので、高松市街を抜けて屋島寺方面へ進む。高松市は意外なほど都会で、日焼けで真っ黒、犬を連れてザックを担いだポコファミリーはかなり目立つ。東京でいうなら銀座や新宿を歩いているようなものか、と思うとちょっと恥ずかしい。そんなわけで都会はそそくさと抜けてしまいたかったのに、ポコがまたしても休みがちになり、ローソンを見つけてはアイスクリームを買ってあげて(大好物なのだ)元気づけていたら、犬好きらしいおばさんが、ポコにドッグフードを「お接待」してくれた。なんでもこのすぐそばの商店街に住んでいるらしく、話をしているうちに「うちに使ってない部屋があるからポコちゃんも一緒に泊まりなさい」と誘われる。この人は古山さんという方で、アーケード街でブティックを経営。店の上が自宅マンションで、「子供が使っていたけど、今はもういないから」と4階の1DKの部屋を提供してくれた。シャワーや洗濯機、冷蔵庫、TVもあって快適。完備屋上テラスもあって、ポコはそこで涼しく寝られたようだ。私たちも久しぶりに蒲団でぐっすり。こんな大都会で、まさか犬も一緒に泊めてくれる家があるなんて、ありがたや、あがたや。


<メモ>
●コース:香西寺(香川県高松市)→高松市中心部(南新町)
●歩行距離:17km
●今日の札所:
83番一宮寺(N34°16’59” E134°01’45”)→讃岐一宮神社である田村神社のすぐ横。境内は狭いが「地獄の音がする」薬師如来などもあり、休日などは賑わう。
●宿泊地:古山さん宅(香川県高松市南新町 N34°20’15” E134°03’08”)A→駅前の商店街アーケードの中にある「コスチューム・ド・フルヤマ」の4階。使っていない台所、バス・トイレ付きの部屋を提供される。エアコン、洗濯機、屋上テラスあり。コンビニなども歩いてすぐという便利な立地。

 

2001/06/02の日記 晴れ 香川県坂出市→香西寺(香川県高松市)

「お地蔵さまと仲良し」79番高照院で。ポコ、むりやりお地蔵さまの横に座らせられる。

「讃岐うどんは最高じゃ!」 うどんの「がもう」。坂出市にある、隠れたうどんの名店。すごくうまいのだ。うどん大180円。

「高松だ!」 ビワ畑を抜けて高松市内へ入ったところ。

■ ああ、讃岐うどん
昨日、柳井さんから聞いた「がもう」という、うまいうどんの店に寄ってみることにした。場所がわかりにくいから、近くまで行って聞かないといけない。午前9時30分だったのでやっているのか心配だったけれど、店はすでに人でいっぱい。田園地帯の中で、そこだけ車がいっぱいとまっていたのですぐにわかった。朝は8時30分からやっているという。逆に昼の1時くらいには閉まってしまうらしい。うどんの量によって、特大(270円)、大(180円)、小(100円)があり、入口で「大1つ」などと頼んでうどんを器に入れてもらい、スープや具は自分で好きなだけ入れて食べ,清算は食後に自己申告して払うシステム。香川のうどん屋はわりとセルフ式が多いが、ここは器を流し台まで持っていくなど、完全セルフサービス。店は一見傾きかけたボロ屋で、しかも店内にテーブルは1つだけという店構えだが、みんな外のベンチや駐車場(なぜか広い)で座って食べている。土曜日とはいえ、次々に人がやってくるだけあって、さすがにうまい。讃岐うどんはかなりレベルが高いし、値段も安い。県外ナンバーも多く、有名な店のようだ。
■ 野良犬がいっぱいの根来寺
80番の国分寺は境内が広く木陰も多かったので、少し昼寝をさせてもらった。今日も暑くてたまらない。ここからへんろ道は山へ登って白峰寺へ向かう。俗に「へんろ転がし」という難所の一つだが、ポコも私たちも木陰のある山道はまったく苦にならない。特に今日のような暑い日は木陰の涼しい道なら急勾配だろうと国道よりはずっとマシだ。登りきると五色台スカイラインに出てしばらく車道を歩くが、途中からまた山道になり,自衛隊の演習地の横を通って白峰寺へ到着した。山の中のお寺なので静かで雰囲気がいい。ここから次の根来寺までも静かな山道のへんろ道だが、納経時間の5時に間に合わないかも、というギリギリの時間だったので、健ちゃんが納経帳を2冊持って先を急ぎ、私は後を追うという2手に分かれる作戦に出た。それで何とか納経に間に合った。よかった。ここは山深い感じの広いお寺なので、犬や猫を捨てる人が多いらしく、野良犬がいっぱい。ポコを見るとみんなで吠えかかってきた。人間には吠えないのに。ポコ、かわいそう。
根来寺からは一気に山を下り、ビワ畑を抜けて高松に出た。ああ、ここまで来たんだ、と瀬戸内海を眺めながら感慨に浸るのだった。


<メモ>
●コース:香川県坂出市→香西寺(香川県高松市)
●歩行距離:30km
●今日の札所:
79番高照院(香川県坂出市 N34°13’27” E133°53’07”)→崇徳天皇を祀っている白峰宮に林隣接。鳥居をくぐってからお寺の境内へ。
80番国分寺(香川県綾歌郡国分寺町 N34°17’58” E133°56’48”)→境内に松の木が多く木陰で昼ねするのにいい。やや商売熱心気味で大師堂は納経所と売店が併設。トイレにペーパーなし。いけにはカメがわんさかいる。
81番白峰寺(香川県坂出市青海町 N34°19’52” E133°55’47”)→五色台の高原にある山寺。生まれ年による一代守御本尊がある。
82番根来(ねごろ)寺(香川県高松市中山町 N34°20’26” E133°57’50”)→五色台ないり、白峰寺から5km弱。深山の趣のある山岳寺院で、石段が長い。牛頭観音、役の行者、水かけ地蔵などがある。本尊は国の重要文化財。周辺にノラ犬多い。
●宿泊地:香西寺B(香川県高松市香西町 N34°20’39” E133°59’49”)→駐車場の隅。納経所の横。トイレ、水あり。

 

2001/06/01の日記 晴れ 74番善通寺(香川県善通寺市)→田尾坂公園(香川県坂出市)

「もうだまされないぞ」 犬の人形に気づくポコ。さすがに最近は本物じゃないとすぐにわかるようになった。

「大数珠」75番金倉寺の本堂にあった願いがかなう、という大数珠。両手で回すと数珠がバタバタと落ちてくる。

「この旅初めて居酒屋へ」京都・大覚寺から修行に来ている柳井さんに連れていってもらって、久々に居酒屋でうまい夕食と酒を飲む。

■ 善通寺の朝は早かった
昨日、駐車場から山門に宿泊地を変えたせいで、朝4時に起こされる羽目になった。ここは大きなお寺で、観光名所でもあるので、まだ暗いうちから山門を開けに来たのだった。仕方なく起き出してテントをたたみ、駐車場のほうへ移動し、私とポコはひと眠りしようとするが、一般の参拝客や近所の人達もなぜか早起きで続々とやってくるので、結局眠れず。仕方なく境内を散策してみると、ここはずいぶん大きなお寺で、広い境内には一般の観光客も多くて早くから賑わっていた。市の名前の「善通寺市」となっているくらいなので、門前町から発達した町なのだろう。その門前町の雰囲気や、戒壇めぐりがあるところなど長野の善光寺に似ている。関係があるのかも。
■ お寺で意外な「お接待」
76番札所、道隆寺の納経所では、歩きの遍路に対して冷たい飲み物や飴などをお接待してくれる。それだけでもありがたいのに、なんとタクシー代までお接待で出してくれたのだ。というのは、ここから数kmの場所に、番外札所ながら弘法大師が生まれた場所である「海岸寺」があり、そこへ行くのに電車で一駅なので、ポコと荷物を預かってもらおうとお願いしたら、「電車で一駅だけど、本数が少ないから」という理由で、有無を言わさずにタクシー会社に電話してしまったのだ。そして「3000円もあれば往復できるから」と封筒に1000円札を3枚入れて渡してくれた。「お接待を断わってはいけない」といろいろな人から言われてきたので、ありがたく受け取ったけれど、お寺でゆっくりしたかったので、帰りは5kmの道を歩いて帰ってきたので半額お返ししたら、またまた冷たい飲み物とケーキのお接待。
なんだか悪い気がして仕方がなかった。これもたぶんポコのおかげ。このお寺さんは犬が好きなようで、お寺で3匹、自宅のほうでも犬を3匹飼っているそうだ。どの犬もお寺に捨てられた犬ばかり。このあたりの寺には「犬、猫を捨てないでください」との看板がいくつもあるけれど、捨てる人の良心を問いたい。ウチのポコも迷い犬だけど、お金を出してペットショップで犬を買う前に、こういう犬を救ってあげるべきだと思う。
■ 京都のお坊さんの苦悩
夕方、昨日、曼陀羅寺で会った柳井さんという京都のお坊さんから電話がある。今日はどこかで一緒に食事をしよう、と約束していたのだ。他にもお遍路さんは多いのだけど、犬好きだけに私たちに興味を持ってくれたようだ。宿泊地の田尾坂公園まで迎えに来てもらって丸亀市内の居酒屋に連れていってもらった。その間ポコは車の中でお留守番だ。久しぶりの居酒屋。う、うれしい。この旅始まって以来か?
ところで、お坊さんの柳井さんだが、てっきりお寺の息子かと思ったら、なかなか複雑な人生。大覚寺の近くにある医者の息子で、現在37歳。もとは農水省の公務員。妻1人、娘1人とシアワセに暮らしていたが、突然の事故で2人とも失ってしまい、それから仏門に入って修行しているらしい。テキパキと明るい態度からはそんな印象は受けないのだけど、まさに人に歴史ありという感じ。海外もいろいろ旅していたそうで、旅の話や犬の話などで盛り上がったあと、また公園まで送ってもらった。ん? 誰が車を運転したのでしょうか? まあ、気にしない、気にしない。


<メモ>
●コース:74番善通寺(香川県善通寺市)→田尾坂公園(香川県坂出市)
●歩行距離:23km
●今日の札所:
74番善通寺(香川県善通寺市 N34°13’22” E133°46’46”)→とにかく広大な境内で賑わう観光寺。クスの大木が多い。総ケヤキ造りの木造五重塔がある。
73番甲山寺(香川県善通寺市 N34°13’47” E133°46’06”)→小さく静かな寺で落ちつける。
75番金倉(こんぞう)寺(香川県善通寺市 N34°14’47” E133°47’01”)→乃木将軍崩御の寺。本堂は純和様鎌倉建築様式。大きな願掛けの数珠がある。
76番道隆寺(香川県中多度郡多度津町 N34°16’23” E133°45’56”)→街中の小さな寺。静かな境内にで、本堂脇に恐い顔をした「目直し薬師」がある。歩き遍路に対して親切。
番外別格海岸寺(香川県中多度郡多度津町 N34°15’09” E133°43’49”)→海沿いにあり、本堂のほか、奥の院があり、そっちのほうが広くて展望もよく山寺の雰囲気。
78番郷照寺(香川県綾歌郡宇多津町 N34°18’14” E133°49’37”)→小高い丘の上にあり、展望がいい。納経時間後、境内は閉められる。

●宿泊地:田尾坂公園B(香川県坂出市 N34°18’39” E133°50’28”)→坂出市に入ってすぐ。トイレ、水場あり。すぐ横が交通量の多い県道なので車の音がうるさくてあまり眠れず。周辺にはノラ犬も多い。

 

2001/05/31の日記 曇りのち小雨のち晴れ 69番観音寺(香川県観音寺市)→75番善通寺(香川県善通寺市)

「子犬のシンちゃんとポコ」曼陀羅寺門前のうどんやで接待の修行をしている京都のお坊さんの飼い犬、シンちゃんがポコをお母さんと間違えてもぐりこむ。ポコ、びっくり。

「弥谷寺の磨崖仏」弥谷寺は崖を利用して造られ、深山の趣。岩壁には磨崖仏が彫られている。

弥谷寺近くにあるうどん屋「かつや」のてんぷらうどん大盛り500円。手打ち麺でシコシコと腰が強い。さすが讃岐うどん、なのだ

■ ああ、般若心経
観音寺には朝4時くらいから参拝する人がやってきた。まだ暗いうちから熱心に般若心経を唱えている。低い、独特の節回しの般若心経が夢の中にまでこだまする。私たちは熱心な仏教徒でもないけれど、こうしてお寺回りをしていると、なにやら信心深くなる気がする。それに、さすがに70番の札所あたりまでくると、100回以上も唱えているわけなので(一つの寺で、本堂と太子堂の2個所でお経をあげる)、最近はさすがに私も覚えてしまった。般若心経も、人によっていろいろ節が違い、やたら早口の人もいれば、本物のお坊さんなどはゆっくり流れるように唱えている。また、独特のリズムで歌うように読みあげるグループもいる。真言宗でも宗派によって違うのだろうか?
■ 弥谷寺と讃岐うどん
70番本山寺から71番弥谷寺へ。ここは岩壁に張りつくように建てられた寺で、長い石段を延々と登った先に本堂があり、その下の岩に磨崖仏があったり、太子堂の中に弘法大師ゆかりの岩屋が残されていたり、と興味深いお寺。愛媛の岩屋寺に似ている。
ところで、この寺の近くに「喝屋」という、うまいうどん屋を発見した。香川県に入ってから初めての讃岐うどんだったので期待していたが、手打ちのシコシコ麺はやっぱりうまい。しかも安い! 天ぷらうどんが450円! 店内にはセルフサービスのおでん、おにぎり、いなり寿司などもある。うまくて安いとあって、地元客でいっぱいだった。
■ 托鉢について
ときどき托鉢をしている白須さんによると、お寺で托鉢をするときは、ちゃんと納経所で断って許可をもらってからするそうだ。本当のお坊さんの場合は托鉢の許可証を持っているので堂々とできる。ところが、中にはちゃんとお遍路として寺を回っているわけでもないのに、遍路姿でお寺で托鉢すれば身入りがいいし格好もつくということで、やっている輩もいるので、お寺のほうもちゃんと各札所で納経をしているか、などをチェックしたり外見で判断して許可したりするようだ。白須さんの場合はきちんと寺を回って納経もしているし、般若心経を唱えているし、身なりもちゃんとしたお遍路風なので、お布施を渡すほうも、敬虔な気持ちになる。逆にただ物乞い風に座っているだけの人もいて、そんな人を見かけるとなんだか目をそむけたくなる。
■ 曼陀羅寺に歩き遍路が集合
72番、曼陀羅寺へ行くと、入口にうどん屋があり、歩き遍路の人に接待をしていた。納経時間が迫っていたので寺へ急ぐが、境内には歩き遍路が3人ほど集まっていた。1人はお坊さん、1人は野宿派の若者で、もう1人はやっぱりテント野宿組のアウトドア派おじさん。中高年の野宿派ではこれまで見なかったタイプだ。みんなで話をしていたところに、うどん屋に居た坊主頭の人がやってきた。犬と一緒に八十八ケ所を回りたい、と言う。なんでも5日前に子犬を拾ったそうで、いろいろ犬の飼い方などを教えてあげた。この人は、柳井さんという京都のお寺のお坊さんで、うどん屋に接待のための修行に来ているらしい。7月からは托鉢修行の旅にでる予定。去年の夏に、一度歩き遍路をしたので、今はそのお返しのつもりで接待をしているところだとか。善通寺に着いたところで、柳井さんが迎えに着てくれて夕食の買い出しをした。そのあと愛犬「シンちゃん」とともにもう一度やってきた。シンちゃんは捨て犬で、溝に落ちていたところを助けられた。生後1ケ月くらいか? 丸々太ってかわいい。この辺の寺にはずいぶん犬や猫が捨てられるらしいが、そのうち何割が生きていけるのだろう。
人間って勝手すぎる。


<メモ>
●コース:69番観音寺(香川県観音寺市)→75番善通寺(香川県善通寺市)
●歩行距離:20km
●今日の札所:
70番本山寺(香川県三豊郡豊中町 N34°08’11” E133°41’47”)→四国で3ケ所しかないという、木造の五重塔がある。
71番弥谷寺(香川県見三豊郡三野町 N34°13’36” E133°43’38”)→山の中腹の断崖に建つ寺で、参道が長く急な石段で、本堂は一番上。磨崖仏や岩屋など見どころが多い。
72番曼陀羅寺(香川県善通寺市 N34°13’12” E133°45’11”)→弘法大師が唐の青龍寺を模して造ったといわれる。本堂に曼陀羅を安置。
73番出釈迦寺(香川県善通寺市 N34°12’57” E133°45’10”)→境内こぢんまりとしているが、捨て身ケ嶽禅定の入口でもある。納経所で歩き遍路には150円返してくれる。
●宿泊地:善通寺の山門前C(N34°13’18” E133°46’32”)→駐車場からすぐ。トイレ、水は駐車場前の公園のものを使用できる。

 

2001/05/30の日記 曇りのち雨 66番雲辺寺(徳島県池田町)→69番観音寺(香川県観音寺市)

「雨はキライ」 69番観音寺で。雨なので軒下にもぐってでてこないポコ。托鉢もままならず。

「やっと銭湯に入れた」観音寺近くに素朴な銭湯を発見。300円なり。

「白ポコ発見」へんろ道沿いの家に飼われていた犬。ポコとちょっと似ている?

■ 涅槃の道場へ
朝6時までしっかり寝た。狭いテントよりも広いスペースだとぐっすり眠れる気がする。標高900Mの朝は冷え込みもけっこうきついし、改めて屋内のありがたさを実感した。昨日、お坊さんが「冬はマイナス4、5°になるから四駆の車じゃないとあかん」と言っていたのも納得。
今日はいよいよ四国の最終ステージ、香川県に入る。「涅槃の道場」である。「涅槃」とは、「仏教が最終的に目指している悟りの境地」のことらしい。ここを行けば悟りの境地に達することができるのだろうか? 雲辺寺からはるか下方に広がる讃岐平野へ一気に下る山道を行く。ポコもうれしそうに行ったりきたり。リードでつないでいるときはつまらなそうなのに、放してあげると表情が生き生きしている。鎖につながれた犬たちはポコに向かって吠えかかってくるけれど、あれはストレスがたまっているからなんだろうなあ、きっと。
■ ポコ、雨で動かず
山を下りて平野に出ると、農家のおじいさんがなぜか缶コーヒーを袋にいっぱい持っていて、1本ずつ接待してくれた。涅槃の道場は幸先がいいようだ。
大興寺をお参りし、次の寺へ行く途中で、ポツポツ雨が降りだした。最初は小雨だったが、だんだん本格的になり、ポコにもビニール袋のカッパを着せて歩かせる。でもポコは雨がきらい。雨をしのげる屋根のある場所を見つけては「もう歩かない」と言うように座りこんでしまうので、そのたびにみんなで小休止する。なんとかなだめながら進むが、観音寺に着くと縁側の下にもぐりこんでふて寝をはじめてしまった。もう3時で次のお寺の納経時間にも間に合わないだろう、ということで今日はこの寺で泊まることになった。
ところで、ここのお寺は、同じ境内に観音寺と神恵院という2つの札所の寺がある。もともと琴弾宮だったところだが、弘法大師がここに寺を造り、その後神仏離合などで2つの寺になったらしい。
ともかく宿泊地が決まったので、荷物を置いて銭湯へ急ぐ。歩いて数分と近くてありがたい。スーパーや酒屋もあってなかなか便利。夕方5時になれば参拝客もいなくなって静かになるし、トイレや水の心配もないから、お寺はキャンプ地としてはなかなかいい場所なのだ。


<メモ>
●コース:66番雲辺寺(徳島県池田町)→69番観音寺(香川県観音寺市)
●歩行距離:19km
●今日の札所:
67番大興寺(香川県三豊郡山本町 N34°05’56” E133°43’21”) のんびりした田園風景の中。山門から急な石段を登る。石段途中に大きなクスの木がある。
68番神恵院・69番観音寺(香川県観音寺市 N34°07’52” E133°38’60”)→もとは琴弾宮だった寺で、同じ境内に2つの寺がある八十八個所で唯一の場所。
●宿泊地:観音寺境内B→境内にある茶屋の前。屋根が張りだしていて雨もしのげるし、テーブル、ベンチ、水場もある。トイレは寺のものを使用できる。