今から25年以上前のことですが、けんいちも、ぽこゆうこも、それぞれここピピ島の噂を旅人から聞いていました。
旅人が求めるのは、物価が安くて綺麗な海があってのんびりできる楽園のような島です。タイの島がどんどんリゾート化されて行く中で、ピピ島には車も走っていなくて、まだ素朴さが残っていて良いという噂でした。
25年も前のことなので今では様子がすっかり変わってしまっているでしょうが、今回のツーリングではせっかくクラビーまで来たので、日帰りでピピ島へ行ってみることにしました。
宿の近くで朝食。ヌードルスープ屋さんがあったのでセンレックナーム(米の麺)を食べることにします。40バーツ(130円)。
クラビーのアオナンビーチから船で90分でピピ島に到着。ひとり450バーツ(1490円)です。素朴どころか、原宿のような町並みです。島の奥へ行くとバイクも走っていますが、旅行者の多いエリアは基本歩きで、お客のスーツケースは宿の人がリヤカーで運んでいました。日本にある「ランプの宿」のような趣向で、開発をあえてせず、旅行客に不便さをを味わってもらおうという考えなのかもしれません。客層もバックパッカーというよりは、短期のリゾート派が多数でした。
イスラム教徒の島のはずなのに、アザーン(1日5回の礼拝への呼びかけをモスクのミナレットから、歌うような美しい旋律で大音響で放送する)を一度も聞かなかったのは旅行者を意識して、放送をやめているのでしょうか?
さすがに海がきれいです。
私たちも海に入ってみることにしました。貝殻が混じった砂が白くて水が透明で、魚がたくさん泳いでいました。
島の中の道路が開発されていないので、離れたビーチへ行くにはこのような小舟をチャーターするようです。私たちは何しろ、ピピ島に日帰りで4時間半しか滞在できないので、あちこちのビーチまでは行けませんでしたが、奥へ行けばもっと美しいビーチがあるのでしょうね。
シーカヤックのレンタルもあります。もちろん、ダイビング、シュノーケリングなど、もっと美しい周辺の美しい小島へ出向いて楽しむこともできます。
島の中は原宿のようだけど、海はおどろくほどきれい。宿泊費はというと、かなり高いようです。海に近いところの普通のエアコン付ツインルームが3000バーツ(1万円)くらいと、タイ本土の約10倍ほど。路地の奥まったところで1200 バーツ(4000円)くらい。食事も当然高いです。もはや、世界を旅するバックパッカーが長期滞在できる島ではなくなっていました。
イスラム教徒の島なので、犬が居ない代わりに猫がたくさんいました。
仰向けで爆睡する猫。100%安心しきってます。島の人たちがいかに猫を大事に可愛がっているかがわかります。
島の落書きにも猫が。
予想以上のピピ島の観光化ぶりを見ることできました。でも、これほどの人が訪れている割に、公共の公園スペース、遊歩道、公衆トイレなどはまだほとんど作られていないようですし、ひとり入島料20バーツを徴収している割にはゴミも目立ちました。これからは、そちらの整備にも力を入れて行って欲しいですね。
竹でできた粗末なバンガローで蚊がブーンと飛んでくるので蚊取り線香を焚いて、1泊500円以下で泊まれて、食事が安くて美味しくて、サンゴ礁がきれいで、近くで釣りもできて、静かなところ。そんなところに長期滞在するのも良いものです。
今まで、そのようなところはいくつかありましたが、人気が出てくると商売熱心な人が現れ、きれいな宿を建て、物価が上がり、団体客が来るようになり、楽園は楽園でなくなるという傾向があるようです。
楽園にも果実と同じように旬があり、時期を逃すと食べられなくなってしまうものなんですね。